こんにちは。波乗り道場生のこももと申します。2021年6月に入門し、トレーダーとしての技術向上に日々奮闘中です。どうぞよろしくお願いします。
今回は、トレンド系テクニカル指標の代表格である移動平均線を使った分析手法の基礎をまとめてみました。
ある一定期間の価格から平均値を計算し、その値を結んでグラフ化したものです。設定期間の平均値が移動していくことから、移動平均と呼ばれています。
価格の細かな上下動のブレを排除し平滑化させた移動平均線は、その傾きや角度、価格との位置関係から相場の傾向(トレンド)を判断する手掛かりとなります。
移動平均線は視覚的に分かりやすくシンプルに相場の状況を判断出来ることから、人気のあるテクニカル指標のひとつです。また、様々なテクニカル指標に移動平均線の考え方が応用されているため、テクニカル分析の基本とされています。
代表的なものとして、一定期間の終値を平均化した単純移動平均線(SMA)、SMAよりも直近の価格にウェイトをかけた線形加重移動平均線(LWMA)や、指数平滑移動平均線(EMA)などがあります。
チャートにSMA(水色)、LWMA(黄色)、EMA(ピンク)を表示してみました。LWMAとEMAは直近の価格に比重を置く事で、SMAと比べて価格の動きに早く反応している事から、値動きの変動をSMAよりも早めに確認することが出来ると言えます。
しかし、感応度が高いと、ダマシ(売買サインと価格が逆行する現象)が発生しやすい事もあります。どの移動平均線もそれぞれの良さや弱点があり、その性質を理解した上で使う事が大切になります。
移動平均線の傾きやローソク足との位置関係に着目して判断するのが一般的な考え方です。
価格が移動平均線よりも上位にあり、移動平均線が上向きの場合は強気局面、価格が移動平均線よりも下位にあり、移動平均線が下向きの場合は弱気局面、また移動平均線が横ばいで価格に絡むように推移している場合は方向感のないもみあい局面と考える事が出来ます。
移動平均線の売買判断に一般的によく知られている方法として、ゴールデンクロス(GC)とデッドクロス(DC)があります。
移動平均線は、平均値を取る期間が長いほど傾きの変化が緩やかという特徴があり、2本の移動平均線のクロスはこの特徴を活用した分析方法となります。
短期移動平均線が中(長)期移動平均線を下から上に突き抜ける減少をGCと言われ買いサインとなり、短期移動平均線が中(長)期移動平均線を上から下に突き抜ける現象をDCと言われ売りサインとなります。
ただし、移動平均線はその計算方法から常に値動きを後追いして変動する指標のため、価格の変動に対しての反応に遅れがあり、クロスの発生までにタイムラグが生じてしまいます。また、レンジ相場になると横ばいとなりすぐにクロスしてしまうため、GC・DCのサインが頻繁に起き、逆指標(本来のサインとは逆)になりうる事にも注意しておきたいところです。
このクロスによる売買サインの優位性を高めるための見方として、GCを買いの目安とする場合、短期・中(長)期の線がどちらも上方向に伸びている場合の方が上昇する可能性が高いと言えます。DCの場合も同様に、短期・中(長)期2本の線がどちらの方向に伸びているのかを確認する事が必要です。
移動平均線は過去の一定期間内の平均値であることから、移動平均線からの乖離はやがて修正されるという考え方があります。
これに基づく分析方法として、移動平均線と価格に大きな乖離が発生している状態は、買われすぎ・売られすぎの状態であると考えられ、意識される価格帯の目安を付ける事により、逆張りの目線を持つことが出来ます。
これは価格が移動平均線に回帰する性質を利用した売買方法ですが、大局のトレンドに逆らう形でのトレードとなります。
また、図の乖離3の様に乖離後、移動平均線まで回帰せず元のトレンドへ戻ることもあります。
1本の移動平均線からは、その傾きや角度、ローソク足との位置関係に着目することで、今の相場がどの局面にあるのかを判断する事が出来ますし、移動平均線からの乖離を計る事により、逆張りの売買タイミングを考える手掛かりとしても有用と考えます。
また、期間の異なる複数の移動平均線を組み合わせる事によりトレンド転換のサインも見ることが出来ます。
ただし、どのテクニカル指標にも言える事ですが、移動平均線は万能ではなく弱点もあります。それを補うためには、それまでのトレンドの確認やチャートパターンなど異なるものを併用し、いろいろな視点から複合的に考える事が重要と考えます。