エリオット波動で細かい波を数えると、波が5波にも6波にも10波にも見えてくる事はありませんか?
簡略化されたチャートの例えでは、上昇の波が一本線で描かれることが多いので分かりやすいのですが、実際のチャートだと細かい値動きに翻弄されて今が何波目なのか分からなくなる事があると思います。
エリオット波動の第1波の定義が明確になっている、また第1波の止まりも大体予想できるような方であれば、細かい値動きに左右される事もないとは思いますが、初心者のうちはそういった事もなかなかに難しいと思います。
そういった波動の特性ですが、移動平均線とセットで考える事によってすっきりと理解できると思います。
以下、具体例を挙げて説明していきたいと思います。
FXの波動ですが、大きく分けると2種類あります。
上昇トレンドと下降トレンドです。
レンジは波動じゃないの?
と言われそうですが、レンジは一定の価格帯の範囲で上昇トレンドと下降トレンドが発生している状態を表すので、今回は考えません。
上昇トレンドと下降トレンドは、ただ逆さまにしただけのように思えますが、下降トレンドは上昇トレンドよりも、3波の伸びが大きくなる傾向があります。
下落トレンドの推進波の方が勢いが強いという事です。
次に第1波の見極めですが、グランビルの法則を使いましょう。
中期MAを基準の移動平均線とした場合、基準の移動平均線をブレイクした波を1波としましょう。
短期のMAブレイクではダメなのかと思うかもしれませんが、それは獲りたい値幅で変わってくると思います。
もう少し具体的に説明すると、グランビルの法則とは元々1本の移動平均線で定義された理論になります。
基準の移動平均線の下にあったローソク足が、移動平均線を上抜けしてから上昇し、そのうち下抜けしてから下落して、また上抜けしてから上昇する。
その場合のエントリーポイントは基準の移動平均線にタッチしたポイントになる。
簡単に言えばこういう理論になります。
例えば1時間足の20MAを基準にすると、1時間足を執行足とするには値動きが早すぎます(しょっちゅうトレンド転換が置きます)
下図のようにローソク足の値動きに近い値動きをします。
ただし、5分足を執行足とするのであれば、1時間足の20MAは中期足として扱う事ができますので、獲れる値幅は少なくなりますが基準足として認定する事は可能です。
短期のMAを基準足にしてはいけないのか、という質問に対しては獲りたい値幅による=どの時間足を執行足とするか、によって変わりますよというのはそういった意味合いになります。
話を戻しますと、中期MAを抜けた波を第1波とする事で波動のカウントがしやすくなります。
もしくはコチラが1波とも考えられる。
実際のチャートも例に挙げたので分かっていただけると思いますが、波動が5波で形成されていると仮定した場合、1波の中にも5波が存在します。
そしてその波の終焉はトレンドラインをブレイクした時になります。
上のチャート図に直接記載しましたが、日足レベルの1波の中には1時間足レベルの波動が含まれています。
注釈:BTCUSDの日足。
1時間足レベルの1波の位置を日足の時間足で見てみると、このサイズ感しかない。
「筒の中を小さな波動が通っているイメージ」とチャートに書き込みましたが、この筒の事を「チャネル」と呼びます。
波動を理解する事が何の役に立つかといいますと「なぜ、ここでトレンドが転換したのか」理由付けをする事ができます。
トレンドはいつまでも続く事はなく、成熟期を迎えた後に衰退し、トレンドが反転していきます。
また波動に対してチャネルやフィボナッチリトレースメントを引く事で今発生している波の止まりのポイントが見えてきますので、どの波が1波になるのか正確に理解する事は利確ポイントや損切ポイントを決める上でも非常に重要である事が分かります。
移動平均線を踏まえて波動の特性が理解する事で、今が何波なのか理解したり、そろそろ価格が反転していくのではないかの見極めができるのではないでしょうか。
また、今見ている時間足の波は上位足の時間軸のチャネルの中を動いているのだと理解する事で、順張り逆張りを間違える事はありませんし、チャネルの下限に向かって(まだブレイクもしていないのに)ショートエントリーをする事もなくなると思います。
そして、波の特性を理解する事で、チャンス通貨が見えてきます。
複数通貨を監視する時に何を見ればいいのか。
それは「今見ている時間足の1つ上位の足に絡んでいる通貨」を見極めるという事です。
1時間足が執行足なのであれば、4時間足の20MAにあたる80MAにローソク足が絡んでいる通貨を監視するのが良いと思います。
4時間足が執行足なのであれば、日足の20MAにあたる120MAにローソク足が絡んでいる通貨を監視するのが良いと思います。
基準の移動平均線に絡んでいる通貨だけエントリーする場合、トレードチャンスが少ないと思われるかと思いますが「待つも相場」です。
待って、待って、待った先にこそエントリーポイントがあるのです。
1つ上の移動平均線とのプライスアクションを見極めて、反発するならトレンド継続、ブレイクするならトレンド反転などの判断をする事で誤った場所でのエントリーや誤った方向へのトレードはなくなるのではないかなと思います。
もう1点ですが、例えば1時間足で揉み合っていてトレンドが読みにくい時は、上位の時間足に切り替えると波をカウントしやすくなる場合があります。
1時間足で揉んでいても、日足では陽線の連続で上昇している場合もあります。
いかがでしたでしょうか。
移動平均線を1本足しこむだけで、波動の特性をすっきり理解できたのではないかと思います。
トレーダーによっては200MAを基準MAにされる方もいらっしゃいます。
それは自分のトレード手法やトレードスタイルによって変えて頂ければ良いのではないかと思います。
波の特性を理解する事は正しい環境認識をする事にもつながりますので是非勉強してトレードに活かして下さい。